「なぜ、あのお客様は来なくなったのか?」

この問いは、多くのエステティシャンが一度は頭を抱える、切実な悩みではないでしょうか。
「最近お忙しいのかしら…」「何かご不満があったのかしら…」
お客様が離れていく本当の理由が見えず、モヤモヤとした気持ちを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
お客様が語る「時間がなくて…」という言葉の裏には、もっと根深い問題が隠れていることも。
その一つが、私たちが「当たり前」と思ってしまっているかもしれない、
施術後の「効果の伝え方」における意外な落とし穴です。
たとえ素晴らしい技術で結果を出していても、お客様自身がその変化を「実感」できなければ、満足には繋がりません。
もしあなたが、毎回「なんとなく良くなった気がする」程度の効果しか感じられない整骨院に通っていたとしたら…?
きっと、他の選択肢を探し始めますよね。
今日のコラムでは、お客様が「やっぱりこのサロンに来てよかった!」と毎回感動し、通い続けてくださるための「効果実感」アプローチについて、具体的な秘訣をお伝えします。
【お客様に「効果」を実感していただくための具体的なアプローチ案】
1.「ビフォーアフター」の徹底的な“見える化”と“共有”
施術前後の写真撮影と比較(許可を得て)
具体的な方法: 同じ照明、同じ角度で、施術前と施術直後の写真を撮影し、お客様と一緒に見比べます。「〇〇様、こちらが施術前のお写真で、こちらがたった今のお写真です。気にされていた△△の部分、こんなにスッキリしましたね!」
ポイント:言葉だけでなく視覚に訴えることで、変化が一目瞭然になります。特に、リフトアップ、毛穴の引き締まり、トーンアップなどは写真で分かりやすい効果です。
手鏡を使った「触って実感」タイム
具体的な方法: 施術後、お客様に手鏡をお渡しし、ご自身で肌を触っていただきながら変化を感じてもらいます。「どうぞ、頬のこの辺りを優しく触ってみてください。施術前と比べて、ハリが出ているのがお分かりになりますか?」
ポイント: 視覚だけでなく触覚にも訴えかけることで、より深い実感に繋がります。
マイクロスコープなどでの肌診断結果の比較
具体的な方法: 施術前に肌診断を行い、施術後にも再度診断して、キメの状態や水分量、油分量などの数値的な変化をお見せする。「施術前はキメが少し乱れていましたが、ご覧ください、こんなに整いましたね。水分量も〇%アップしていますよ。」
ポイント: 客観的なデータを示すことで、効果への納得感が増します。
2.「お客様自身の言葉」で効果を言語化してもらう
効果実感への誘導的な質問
具体的な方法: 施術後、「今日の施術で、特にどのようにお感じになりましたか?」「施術前と比べて、何か変化を感じる部分はございますか?」と、お客様自身に変化を言葉にしてもらうよう促します。
ポイント: 人は自分で言葉にすることで、より深く認識し、記憶に残ります。「なんだかスッキリした」だけでなく、「フェイスラインがシャープになった気がする!」といった具体的な言葉を引き出せると良いでしょう。
お客様の「嬉しい!」に共感し、さらに深掘りする
具体的な方法: お客様が「肌がモチモチになった!」とおっしゃったら、「本当ですね!特に〇〇の美容液がしっかり浸透したおかげで、内側からふっくらされていますね。触り心地も変わりましたでしょう?」と、プロの視点から理由やさらなる変化を補足します。
ポイント: お客様の実感を肯定し、専門的な解説を加えることで、満足度と信頼度を高めます。
3.「前回との比較」を明確に伝え、継続効果を実感してもらう
カルテを元にした具体的な比較説明
具体的な方法: 「〇〇様、前回の施術から3週間経ちましたが、その時のお肌と比べて、今日は乾燥がかなり改善されていますね。特に△△の部分の赤みが引いて、キメも整ってきました。前回お伝えしたホームケア、頑張ってくださいましたか?」
ポイント: 「今日の変化」だけでなく、「前回からの良い変化」を伝えることで、継続することの価値や、ホームケアの重要性も合わせて実感してもらえます。
お客様の「過去の悩み」を忘れさせない:
具体的な方法: 「〇〇様、初めてご来店された時は、△△のお悩みでいらっしゃいましたよね。今ではすっかり改善されて、本当に素晴らしいです!今日のケアで、さらに良い状態をキープしていきましょうね。」
ポイント: お客様は良い状態に慣れてしまうと、以前の悩みを忘れがちです。時折、過去の状態と比較することで、これまでの効果を再認識し、継続へのモチベーションを高めます。
4.「未来への期待」を持たせる言葉かけ
今回の効果を踏まえた、次回の目標設定
具体的な方法: 「今日の施術で〇〇がこれだけ改善されましたので、次回はさらに△△を目指して、□□のケアを重点的に行いませんか?そうすることで、もっと××な状態に近づけますよ。」
ポイント: 今回の効果を「ゴール」ではなく「通過点」と捉え、さらに美しい未来への期待感を抱かせることが、継続的な来店に繋がります。
ホームケアとの連携で効果が加速することを伝える
具体的な方法: 「今日のこの素晴らしい状態を、ご自宅でもこの〇〇(商品名)でケアしていただくと、次回の施術効果がさらに高まりますし、△△のような変化もより早くご実感いただけると思いますよ。」
ポイント: サロンケアとホームケアの相乗効果を具体的に伝えることで、物販への興味も自然と高まります。
これらのアプローチは、単に「施術をして終わり」ではなく、お客様に「自分の肌が確実に変わってきている!」という喜びと、「このサロン(エステティシャン)なら、もっとキレイにしてくれる!」という信頼感を育むために非常に重要です。
研修でこれらの具体例を提示し、ロールプレイングなどを通じて実践練習することで、エステティシャンの皆さんの「効果を実感させる力」が格段に向上するはずです。