「お客様がリピートしたくなる『秘密』とは?」

私たちは日々、お客様に「好かれる」存在であろうと、笑顔を心がけ、丁寧な言葉遣いを学びます。それは、素晴らしいことです。
では、少しだけ視点を変えて、あなたにこう問いかけてみたいと思います。
「あなたは、お客様の『ファン』ですか?」
「ファン…?」と、少し戸惑われたかもしれませんね。
しかし、お客様との間に揺るぎない絆を築き、選ばれ続けるエステティシャンになるための最も重要な鍵は、実はこの「お客様のファンになる」という姿勢の中に隠されているのです。
今日は、デール・カーネギーの「人に好かれる六原則」の神髄でもある「誠実な関心を寄せる」ということ、つまり「お客様のファンになる」とは具体的にどういうことなのか、そして、それがあなたとサロンにどんな素晴らしい未来をもたらすのかについて、考えてみましょう。
【「好かれたい」の先にあるもの~なぜ、ファンになることが大切なのか~】
「お客様に好かれたい」という気持ちは、時に「嫌われたくない」という守りの姿勢や、「気に入られよう」という少し媚びた態度に繋がってしまうことがあります。
しかし、「お客様のファンになる」と決めた瞬間、あなたの立ち位置は変わります。
あなたは、お客様という一人の素晴らしい人間の、一番の理解者であり、応援団長になるのです。
その方の素敵なところ、頑張っているところ、夢見ていること…その全てに心からの関心を寄せ、その方の人生がもっと輝くためのお手伝いをしたい、と本気で願う。
この「与える」姿勢から生まれるコミュニケーションこそが、お客様の心を本当に動かすのです。
【あなたは、お客様の物語を語れますか?~ファン度チェック~】
では、あなたの「お客様ファン度」は、今どのくらいでしょうか?
少し、自分自身に問いかけてみてください。
- 担当しているお客様のお名前を、何人フルネームで書き出せますか?
- その中で、一番大好きなお客様を一人、思い浮かべてください。
- その方の誕生日は?
- 最近ハマっていることは?
- 前回、どんなお話をして、どんな表情で笑っていましたか?
【「誠実な関心を寄せる」ための、今日からできる3つのアクション】
「ファンになる」と言っても、具体的に何をすれば良いのでしょうか?
難しく考える必要はありません。ここで、少しだけ想像してみてください。
もし、あなたが誰か素敵な異性に恋をしたら…?
きっと、その人のことを「もっと知りたい!」と、自然に思うはずです。
「好きな食べ物は何かな?」「どんな音楽を聴くんだろう?」「お休みは何をしているのかな?」…そんな風に、相手のことで頭がいっぱいになる。誰もが経験したことのある、あの感覚です。
お客様への「誠実な関心」とは、まさにそれと同じなのです。
「このお客様は、どんなことに関心があるんだろう?」「どうすれば、もっと笑顔になってくれるだろう?」と、恋するような気持ちでお客様のことを「知りたい」と思うこと。
それが、全ての始まりです。
1.「聞く」を変える:お客様の「好き」や「ワクワク」に恋をする
カウンセリングで、施術の話ばかりしていませんか?お客様の「人」そのものに興味を持ちましょう。
声かけ例
「最近、何かハマっていることとか、ありますか?」「〇〇様が、今一番ワクワクすることって何ですか?
ポイント
お客様が楽しそうに話してくれる「好きなこと」に、あなたも心からの興味を持って耳を傾ける。好きな人の話を聞く時のように。
2.「見る」を変える:お客様の小さな「変化」や「こだわり」を見逃さない
好きな人の、ほんの少しの髪型の変化にも気づくように、お客様の小さな変化に誰よりも早く気づけていますか?
声かけ例
「〇〇様、今日のイヤリング、すごく素敵ですね!お洋服と合っていて、とてもお似合いです」「あれ?ネイル、変えられましたか?今回の色もすごく綺麗ですね!」
ポイント
髪型、ネイル、持ち物、そして何より「肌や体型の小さな良い変化」。プロの目で、そしてファンの目で、その変化を見つけ、具体的に言葉にして伝えましょう。
3.「記憶」を「絆」に変える:お客様の物語を、次への架け橋にする
好きな人との会話は、どんな些細なことでも覚えているものですよね。
声かけ例
「そういえば〇〇様、前回お話しされていた、お嬢様のピアノの発表会、いかがでしたか?」
ポイント
お客様との会話で心に残ったことをカルテにメモし、次回の会話で触れる。たったそれだけで、お客様は「私の話を、覚えていてくれたんだ!」と深く感動し、あなたへの信頼を揺るぎないものにします。
【その先にこそ、本当に「必要な提案」が見えてくる】
そして、このようにお客様のことを大好きになり、深く知ることで、初めて見えてくるものがあります。
それは、お客様にとって「本当に必要なもの」です。
- 「ワンちゃん(もちろんお名前も覚えています!)とのお散歩が日課だから、この日焼け止めは絶対に必要だな…」
- 「2ヶ月後のゴルフコンペで最高の自分を見せたい、とおっしゃっていたから、目標達成のためには、あのサプリメントがピッタリだ!」
- 「最近、本当にお仕事がお忙しそう…これは頭皮が凝っているはず。ヘッドマッサージで癒して差し上げたいな…」
物販や追加メニューの提案は、「売り込み」では決してありません。
お客様のことが大好きだからこそ、その方の未来を本気で考えた時に、自然と見えてくる「最高のプレゼント」なのです。
その想いが伝われば、お客様はきっと喜んであなたの提案を受け入れてくださるでしょう。
【まとめ】
お客様のファンになる。
お客様一人ひとりに「人生」という、世界でたった一つの物語がお有りです。
その物語に登場する、最高の応援団長になりませんか?
その温かい眼差しと、誠実な関心こそが、お客様の心を動かし、「あなただから、お願いしたい」「あなたに会いに来たい」という、最高の言葉を引き出すのです。
テクニックの前に、まずは「あり方」から。
そして、行動にうつしていかれてみてください。
必ず、必ずあなたの愛情はお客さまに届き、いつしか生涯顧客としてリピートしてくださっていることに気付くでしょう。