サロン経営者の皆様、こんにちは。渡辺ゆきよです。
「リピート率を上げたいので、何か良い特典はありませんか?」
先日、あるサロンオーナー様から、このようなご相談を受けました。
お客様に喜んでいただき、継続していただくための「特典」。もちろん、上手に使えば非常に効果的です。
しかし、もしあなたが「特典を豪華にすれば、リピート率は上がるはず」と考えているとしたら、それは非常に危険な思い込みかもしれません。
なぜなら、特典はあくまで、ケーキの上の「いちご」のようなもの。その下のスポンジやクリーム(=サロンの基本的な価値)が美味しくなければ、お客様は決して満足しないからです。
今回は、安易な特典に頼る前に、お客様が「このサロンだから、続けたい!」と心から思ってくださるための、揺るぎない**「3つの基盤」**についてお話しします。
【リピート継続に不可欠な、3つの基盤】
お客様が継続を決める時、その心の中では、必ずこの3つの条件が満たされています。
基盤1:「今日も来て良かった」が毎回ある、圧倒的な【効果実感】
これは、全ての土台となる大前提です。お客様が、ご来店されるたびに「わ、また少し変わった!」「確実に理想に近づいている!」と、目に見える、あるいは手で触れて分かる効果を毎回実感できていること。
もし、効果に確信が持てないまま特典を提示されても、お客様の心には「効果がないものを、お得に続ける意味ってあるのかな…?」という疑問が浮かぶだけです。まずは、技術力と提案力を磨き上げ、お客様を毎回感動させる「結果」を出すことに、全力を注ぎましょう。
基盤2:「あの人に会いたい」と思わせる、心満たされる【情緒的満足】
技術的な効果と同じくらい、いえ、それ以上に重要なのが、サロンで過ごす時間そのものが「嬉しい」「楽しい」と感じられることです。
素晴らしい笑顔でのお出迎え、自分のことを覚えてくれている会話、細やかな気配り…。
こうした「心のおももてなし」を通じて、「あのサロンに行くと、気持ちが上がる」「あのエステティシャンに会うと、元気になる」という体験価値を創出できていますか?
お客様は、施術だけでなく、あなたという「人」に会いに来てくださるのです。
基盤3:「私のことを分かってくれてる」という、絶対的な【信頼関係】
コースの中間地点(例えば5~6回目)で行うカウンセリングは、この信頼関係を決定づける、非常に重要な機会です。
これまでの効果を一緒に振り返り、お客様の価値観(効果を何より重視するのか、通いやすさを重視するのか、料金を気にかけているのか等)と、近い未来のゴールを、改めて丁寧にすり合わせましょう。
この対話を通じて、「このサロン(この人)は、私のことを本当に理解し、一番良い道を一緒に考えてくれている」という絶対的な信頼関係が築かれます。
【その上で、初めて「特典」が魔法のひと押しになる】
この3つの強固な基盤が整って、初めて「特典」が、お客様の背中をそっと押す、魔法のひと押しとして機能します。
大切なのは、単に「お得ですよ」と提示するのではなく、**「お客様の効果を最大化するために、このタイミングでの継続がベストなんです」**という、プロとしての愛情を込めた理由づけを行うことです。
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	効果的な特典の例 
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		例1(効果最大化サポート): 「今回更新いただくと、〇〇様が気にされている△△の効果をさらに高める、**特別な集中美容液(非売品)**を3回分プレゼントしますね。」 
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		例2(モチベーション維持サポート): 「継続を決めてくださった〇〇様へ、感謝の気持ちです。次回ご来店時に、15分間のヘッドマッサージで、日頃のお疲れを癒させてください。」 
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		例3(限定感・希少性): 「今月中に継続をお決めいただいた、長年ご愛顧くださっているお客様だけに、来年から導入予定の新メニューを、一足早く体験できるチケットをお渡ししています。」 
 
【まとめ】
リピート率が低い本当の原因は、「特典が弱い」ことではありません。
多くの場合、お客様が「続ける価値」を、まだ完全には実感しきれていない、というサインなのです。
特典という「いちご」を乗せる前に、まずは「効果実感」「情緒的満足」「信頼関係」という、美味しくて揺るぎない「ケーキの土台」を、スタッフ全員で創り上げることに集中しましょう。
その土台さえあれば、特典はほんの小さなものでも、お客様からの「ぜひ、お願いします!」という、最高の言葉を引き出す、輝く魔法のひと押しになるはずです。